愛に生きるライオン

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映画は映画館で観るように作られている。映画『永遠の0』試写会へ行ってきた

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2013年12月7日、Filmarksユーザー限定試写会にて。原作は未読。

 

感想

物語は、太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、特攻出撃で命を落とした宮部久蔵という人物の孫が、その存在すら知らなかった自分たちの祖父について、実際に本人を知っている人達から話を聞き、徐々にその人物像に迫るというもの。公開前の映画なので、ネタバレ的なことは書けないが、パンフレットにあるキャッチコピーから言葉を借りるなら、これは「愛」の物語である。

映画冒頭の零戦の着艦シーンを観たときはCGがチープに思え不安になったが、それ以降気になることは無く、寧ろ素晴らしい映像だったと思う。迫力の空戦は、これまで見た映画の中でも随一と言っていいほどで、一見の価値あり。断片的な話を繋ぎ合わせて行くというストーリー展開のため、過去の話は時系列がバラバラに進み、それが妙なリアリティをもっている。謎が謎を呼ぶそのミステリアスさは、2時間半という時間を感じさせず、原作が本当に面白いのだろうと思わせる。

そして、ただ映像化しただけでないと感じさせるところが、この映画のもう一つの魅力でもあり、ラストの畳み掛けるような演出は鳥肌ものだ。そんなラストの没入感は、「映画は映画館で観るために作られているんだ」と、当たり前のことを強く感じることができるシーンだったと思う。この映画を観るなら、是非ともドセンターの良い位置で観てほしい。

 

蛇足

ちょうど自分がその時代を生きた人達の孫であり、これから親になるという時であることから、次の時代や子供達の未来へ思いを馳せた宮部久蔵の思いと、残された者たちの思い、受け継いだもの達思いが自分の中に流れ込んでくるような、そんな複雑な気持ちになった。お涙頂戴モノは嫌いだが、この映画はそんな単純なものではなく、今を生きる自分の存在について考えさせられ、生きる喜びを教えてくれる作品だった。

僕たちは戦争を知らない。僕たちの親も戦争を知らない。そして祖父母から戦争の話を聞いたことがないので、祖父母すら戦争の頃には幼かったのではないかと勝手に思っていた。でもよく考えるとそんなことはなく、しっかり覚えているくらいの年齢であることが分かった。そしてそんな祖父母と僕は同じ昭和の生まれなのだ。戦争は僕達が思っているほどの大昔の話ではない。祖父母がいて、両親がいて、僕達は脈々と続く「愛」の連鎖によって、今此処にいるんだ。この映画はそんな当たり前の日常がいかに奇跡的なことであるかを思い出させてくれる。

まだ会うことができる祖父母には、しっかりひ孫の顔を見てもらおう。親孝行しよう。戦争を知らない世代に、僅かでもその重みを伝えることができる。映画って本当にいいものですね。

 

おわりに

今回はfilmarksユーザー限定試写会だったので、会場でアンケートをとっていました。ということで、僕は追加して欲しい機能として「映画の公開日順ソート機能」、「編集しても書き込んだ順が変動しないようにしてほしい」、「エクスポート機能(Evernoteなどに)」などを提案してみました。いいサービスなので、filmarksのこれからにも期待しています。

映画レビュー | Filmarks(フィルマークス)

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